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広島高等裁判所 昭和53年(行ソ)1号 判決

兵庫県西宮市丸橋町二の二七

再審原告

森行直

再審被告

尾道税務署長

竹本次郎

右当事者間の審査決定取消請求再審事件について、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件再審の訴を却下する。

再審費用は再審原告の負担とする。

事実及び理由

本件申立は、「広島高等裁判所が同庁昭和四八年(行ソ)第一号審査決定取消再審事件について、昭和四九年一二月二六日に言渡した判決を取消す。」との判決を求めるもので、その再審事由としての主張は、要するに、再審被告が昭和三七年三月二七日付をもってした再審原告の昭和三五年分所得税に関する更正及び広島国税局長が昭和三八年三月一八日付にした裁決の各処分が違法であるのに、前記確定判決がこれを是正しなかったことは民事訴訟法四二〇条一項九号の再審事由に該当するというものである。

しかし、再審原告の主張するところは前記確定判決についての前記九号の再審事由に当らない上、右各行政処分についてされた確定判決(当庁昭和四二年(行コ)第六、一三号事件)があり、これについて再審原告は前記昭和四八年(行ソ)第一号事件の外数回に亘って当庁に同種の再審の訴を提起し(昭和五〇年(行ソ)第一号、同第二号、昭和五一年(行ソ)第一号昭和五二年(行ソ)第三号)、その再審事由とするところは本訴と同様に判断遺脱というものであっていずれも関係確定判決は再審原告主張の再審事由は存しないこと等を理由に右再審の訴を却下し、同判決は確定しており、本訴における主張事実も、従前の再審の訴における主張事実と相違するものではないことが当裁判所に顕著な事実である。

以上の次第で、再審原告の申立は前記行政処分が適法であるとの判断に従い得ないことから、昭和四二年確定判決あるいはその再審確定判決に対して形式的な再審の訴を繰返すものに過ぎないものであることが明白であるので、訴の利益を欠く不適法なものというべきである。

よって、本件再審の訴を却下し、再審費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 辻川利正 裁判官 梶本俊明 裁判官 出嵜正清)

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